油圧ショベルの製品カタログで走行速度とか走行けん引(引張り)力とか登坂能力とか書いてあるけどどんな計算しているんだろうとか、単純にカタログ値を他のメーカーと比較していいのかなとか気になりませんか?
そんな訳で、今回は油圧ショベルの走行性能の簡単な計算ツールを掲載します。
走行性能ってどんなこと計算してるの
走行性能といっても計算することは多岐にわたるが、今回は製品カタログに掲載されている走行速度、走行けん引力と登坂能力について記載します。
まず、走行速度とはその製品の走行時の最高スピードのことを指します。加速域をすぎて最高スピードに達した等速度直線運動時のスピードとして計算します。また、走行には高速/低速のスピードの切り替えもあります。
次に走行けん引力ですが、その製品が出しうる最大の走行での引張る力を指します。走行システムの最高圧力に達した静的な最大の力として計算します。
最後に登坂能力ですが、その製品が登ることができる坂道の角度のことを指します。上記の走行けん引力と製品自身の車体重量の傾斜での摩擦力のつり合いで計算します。
計算するためには以下のようなパラメータが必要になります。
- 油圧ポンプ最大流量(走行時)
- 走行システムの最高圧力
- 走行モータの押しのけ容積
- 走行装置の総減速比
- 走行駆動輪とクローラのピッチ円直径
- 走行モータの容積効率
- 走行装置の機械効率
- 走行モーターの数量
- 運転質量
今回は登坂能力の計算について紹介していきます。
走行モーター

油圧モーターは、油圧を利用して回転運動を発生させます。油圧モーターには、ベーンモーター、ギアモーター、ピストンモーターなどの種類があります。
油圧ショベルの走行モーターではピストンモーターが多く使用されています。
メーカーのカタログから押しのけ容積、最高圧力、最高回転数などの仕様を知ることができます。
走行システムの最高圧力はこの走行モーターのリリーフ弁の圧力ではなく、メイン回路側で設定しているリリーフ圧力を指すことが多いです。
減速比

減速比とは、入力側の回転数と出力側の回転数の比率を表します。例えば、入力側の歯車が15枚、出力側の歯車が30枚の場合、減速比は2になります。
減速比が大きいほど、出力側の回転数は入力側よりも低くなりますが、出力トルクは増加します。
つまり、減速比が大きいほど、出力側の力が強くなります。
走行システムの総減速比とは走行減速機の減速比です。
効率(損失)
油圧モーターの効率には、容積効率と機械効率があります。容積効率は、油圧モーター内部ですきま等からの漏れなどによる容積的な損失が発生することであり、ポンプの理論的吐出量と実際の吐出量との比を表します。機械効率は、摩擦損失や回転体の油中撹拌抵抗や各油路の管路損失による実出力トルクと理論出力トルクの比を表しています。
減速機の機械効率は、歯車の形状や材質、潤滑状態、歯車の精度などによって異なりますが、一般的には90%程度とされています。
また、走行システムでは走行駆動輪とクローラとの摩擦損失などもあります。
計算ツール(登坂能力)
登坂能力の計算式は以下の通りです
F_f=f_1+f_2+f_3
F>F_f

F:理論走行けん引力
Ff:登坂時総抵抗
f1:登坂角度による自重分力
f2:路面抵抗
f3:走行機構損失
- M: 運転質量 [kg]
- α:登坂角度 [°]
- F:走行けん引力(理論値) [kN]
では下記フォームに各パラメータの数値を入力し計算してみてください。
走行けん引力については油圧ショベルの走行性能の計算ツール <その2:走行けん引力>にて計算してください。
”登坂能力判定”がOKとなれば指定した登坂角度での登坂可能となります。
まとめ
以上、今回は油圧ショベルの走行性能のうち、登坂能力の計算方法と計算ツールの紹介をしました。
車体重量、走行けん引力、登坂角度の関係が実感できると思います。
設計にたずさわる方は本内容を参考にぜひ自分で試しに計算してみてください。
走行けん引力の計算についてはこちらの記事で紹介してますので併せてご覧ください。
↓↓↓
コメント