建機の代表格と言えば油圧ショベルが挙げられますが、油圧ショベルの重量と性能ってどれだけの相関性があるか見たことありますでしょうか。今回は前回に引き続きその重量と各スペックの相関について調査しました。
前回の記事↓

運転質量=重量 の定義やエンジン出力、作業装置などの比較については前回記事をご覧ください

前回のつづきの内容だね
各スペックの説明

今回は力、スピードについて紹介するよ。
1. 土を掘る腕の力【掘削力】
2. 上体をぐるぐる回るスピード【旋回速度】
3. 走るスピード【走行速度】
について紹介するね。
掘削力
まずは掘削力です。
油圧ショベルは作業装置(アームと呼ばれる腕、バケットと呼ばれる手)を使って土などを掘る仕事をします。それぞれに油圧シリンダという往復で動く複動シリンダが取り付けられており油圧の力でアームやバケットを動かして力を発揮します。またシリンダの力はリンク機構(テコの原理)を用いて力を倍増させて大きな力を発生させています。
掘削力はアーム掘削力、バケット掘削力というものがあり、それぞれkN(キロニュートン)という単位で表記されます。

旋回速度
次は旋回速度について。
上半身がぐるぐる回転できるようになっていて色んな向きで掘ったり、平らに均したり、違う場所へ土砂を移動したりできる様になっているよ。そのぐるぐる回るスピードの事を旋回速度と言い、カタログに記載の速度は等速回転での最高速度を表記しています。
旋回速度は1分間に何回転できるかを表す rpm(もしくはmin-1)という単位で表記されます。


旋回速度は等速運動になった最高速度で表しているよ。
だから途中の加速スピードはこのスペックを見ただけではわからないから注意。

一番早いスピードってことね💡
走行速度
最後は走行速度について。
これは説明するまでもなく、走るスピードのことです。
油圧ショベルは走行用の油圧モーターで減速機を介してクローラーと呼ばれる無限履帯を回して走ります。モーター回転数と減速比、駆動輪の大きさで走行の速度が決まります。
走行速度は自動車と同様にkm/hという単位で表記されます。


いよいよ次からそれぞれの仕様について比較していくよ

はやく次ちょうだい💖
運転質量と掘削力
実は運転質量と掘削力(アーム掘削力とバケット掘削力ともに)とは明確な相関関係があります。
なぜなら、ユーザーは大きな製品には大きな力を求めるというニーズの面がひとつ。次に体格に不釣り合いな大きな力で掘ろうとすると力に負けて自分の体が持ち上がってしまうからです。よって製品の大きさが大きくなるにつれ運転質量に比例し掘削力も大きくなります。
実際に主要6社の各モデルのデータを見てみると運転質量と掘削力には明確な相関関係が確認することができます。
下のグラフを見てください。
データは日本国内での主要6社、88モデルについてデータをプロットしたものです。(日本2014年排ガス基準適合車のみ。クラスも13t〜100t未満でピックアップ)



掘削力を大きくするにはシリンダの太さを太くするか、圧力を上げる方法があるよ。
運転質量と旋回速度
次に運転質量と旋回速度だけど、こちらは少し微妙ではありますが概ね傾向はみれるといった感じです。
考えられる理由としては、今回は紹介してませんが旋回力という性能もありまして、旋回力とこの旋回速度とはトレードオフの関係となっています。旋回速度を速くする様なモーターや減速機の設定にすると相反して旋回の力は小さくなるのです。(もちろん両立させるために方法はなくはありませんがここでは割愛します)そうすると、各メーカーの特色により力に注力するのか速度に注力するのかという違いがこの結果に表れていると推定します。
同様に主要6社の各モデルのデータを見てみますと、運転質量と旋回速度については相関傾向がつかめる程度の相関関係があると言える。
下のグラフを見てください。
データはエンジン出力の時と同様に日本国内での主要6社、88モデルについてデータをプロットしたものです。


運転質量が重くなるにつれて旋回速度は遅くなる傾向なんだね。

確かにでかいのが速く回ってたらちょっと怖いな
運転質量と走行速度
最後に運転質量と走行速度についてですが、こちらについてはあまり相関性はみられません。
考えられる理由としては、第一に油圧ショベルの走行速度自体が元々めちゃくちゃ速い訳ではないので少しの数値の違いでもパーセンテージとしては大きく振れてしまうこと。第二に鉱山等ではダイナマイトを使用して岩を掘りやすくするのですが、その際近くで稼働している油圧ショベルは安全な距離まで移動しなければなりません。そうすると走行速度が遅い機械があるとその遅い機械の移動待ちになってしまう為ユーザーへの満足度は下がります。なので必要な走行速度は各メーカー確保しているのだと思います。ただめちゃくちゃ速ければ良いのか?というと速すぎると逆に周囲の人への安全も気にしなければなりませんし、機械のダメージも大きくなり早期故障の原因となってしまいます。
ということで主要6社の各モデルのデータを見てみると運転質量にかかわらず走行速度は横ばい(緩やかな右肩下がり傾向)の関係があることが確認できました。
下のグラフを見てください。
データはこれまでと同様に日本国内での主要6社、88モデルについてデータをプロットしたものです。


グラフのデータは最高速度をプロットしたものだよ。
油圧ショベルも自動車の様に変速可能で一般的には低速/高速の2段切り替えになっているよ。
メーカーによっては低速/中速/高速の3段切り替えになっているモデルもあるよ。
結論
運転質量とそれぞれの性能・仕様には概ね相関があると言えることがわかりました。
- 運転質量と掘削力は比例関係にある
- 運転質量と旋回速度は概ね比例傾向にある
- 走行速度は運転質量に関わらず概ね横ばい傾向にある
まとめ
前回に引き続き油圧ショベルの運転質量と各性能について比較してきたけど、全体のトレンドラインに対し各メーカー大きく外れいない
今回の比較データでも基本的な性能では各メーカー大きな違いはないので、各メーカーの基本性能での極端な特長だしが難しいのかなと思います。当たり外れを嫌いオーソドックスな仕上がりになってますね。
油圧ショベルでもハイブリッド仕様が発売されたりしていますし、自動車市場と同様に電動化の流れもありますので今後の動向に注目したいです。ただ、電動化(バッテリーショベル)についてはまだまだバッテリーのエネルギー密度の問題もあり大きい機械ほど現状のディーゼルエンジン同等の稼働時間の確保は難しい様です。
<参考>記事内の比較は日本発売のスタンダードモデルでの比較です。今後機会があれば海外市場でのデータも比較していきたいと思います。
※他にもこんなこと知りたい等あれば可能な範囲で記事化していきますのでご意見頂ければ幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。
本ブログでは他にも油圧ショベルに関する比較をしていますので、興味があればご覧になってください↓↓↓
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