建機の代表格と言えば油圧ショベルが挙げられますが、油圧ショベルの重量と性能ってどれだけの相関性があるか見たことありますでしょうか。今回はその重量と各スペックの相関について調査しました。
【はじめに】製品名は製品の重量を示している
各社製品名には数字が記載されています。その数字は製品の重量を示すものがほとんどです。
また、油圧ショベルでいう製品の重量は『運転質量』と呼ばれ機械の重量と燃料やオイル、運転手等の重量も含めた重さのことを表すのが一般的です。(この運転質量の定義はISO、JISで規定されている)
- CAT313 (キャタピラー) 運転質量:13.8t
- PC130-11 (コマツ) 運転質量:13.0t
- ZX120-7 (日立建機) 運転質量:12.9t
- SH120-7 (住友建機) 運転質量:12.6t
- SK200-10 (コベルコ) 運転質量:20.5t
- EC220E (ボルボ) 運転質量:22.7t

先頭のアルファベッドはブランド名、それ以外の運転質量を示している以外の数字やアルファベットは世代を表しているよ。
油圧ショベルのメーカーのカタログ表記
製品の特徴や性能を見るには一般的には各メーカーが掲載している製品カタログを見るのが一般的だけど、見慣れない人がみると結構分かりづらいと思うんです。それに色んな競合製品と比べてみようかなと思って何社か見ようとするけど、記載様式も様々で結構見づらいんです。。



上記のカタログは僕が個人的に比較的見やすいと感じたメーカーの製品カタログを参考で載せてみたよ

いやいや、全然わからないよ・・・

そうだよね。大丈夫!これから代表的なスペックについて紹介していくよ。
1.体の大きさを表す【運転質量】
2.動かす力の源を表す【エンジン出力】
3.実際に仕事をする【作業装置(腕、手)】
について紹介するね。
運転質量
まずは運転質量について。
運転質量は人間で言うと体重にあたります。製品が大きくなると当然運転質量も重くなります。世界最小クラスの油圧ショベルは小松製作所の『PC-01』という製品で機械本体の重量が300kgと公表されていますので同じく運転質量として考えると400kg弱ということになります。また世界最大クラスの油圧ショベルは日立建機の『EX8000』という製品で運転質量は811,000kg(811トン)と公表されています。
製品名のところではt(トン)という重さの単位で紹介したけど、製品カタログでは運転質量はkg(キログラム)で表記されることが多いよ。

世界最小クラスの油圧ショベル と 世界最大クラスの油圧ショベル。PC01は乗っている人、EX8000は隣に立っている人を基準に大きさを想像してみてね。
エンジン出力
次にエンジン出力について。
エンジンは製品を動かすパワーの源だからね、運転質量が重くなると当然それを動かす為のパワーも大きなパワーが必要になってくるよね。あとは大きなエンジンは動かすには沢山の燃料も必要になるから燃料タンクも必然的に大きくなってくるよ。
エンジン出力はkW(キロワット)という単位で製品カタログに表記されているのが一般的だよ。
作業装置
最後は作業装置です。
油圧ショベルは土を掘ったり、運んだりするのが仕事なんだけど、その為にはこの作業装置(腕、手)が必要不可欠です。一般的にはブームと呼ばれる上腕部、アームと呼ばれる前腕部、手に相当するバケットと言うのが作業装置にあたります。
ブームとアームは長さを表す m(メートル)や mm(ミリメートル)で表記され、バケットは容量を表す m3(立方メートル)で表記されます。


いよいよ次からそれぞれの仕様について比較していくよ
運転質量とエンジン出力
実は運転質量とエンジン出力とは明確な相関関係があります。
なぜなら、大きさが大きくなる=重さが重くなり、それを動かし必要な仕事量を確保しようとすると、動力も大きなものが必要になるので、重さに比例してエンジンの出力も大きくなるからです。
実際に主要6社の各モデルのデータを見てみると運転質量とエンジン出力、排気量には明確な相関関係が確認することができます。
下のグラフを見てください。
データは日本国内での主要6社、88モデルについてデータをプロットしたものです。(日本2014年排ガス基準適合車のみ。クラスも13t〜100t未満でピックアップ)



エンジン出力と排気量は共に関連する性能だから、一方が運転質量と相関があるなら当然他方も相関があるのは何となくわかるね。

大きくなるとパワーもデカくなるってことだな
運転質量とエンジン出力には綺麗な相関があり各社ほぼ同様の設定としていることがわかる。
逆に言うとこの相関関係が崩れたモデルが出てくるとそれは何か革新的な技術を搭載している可能性があるよね。
運転質量と燃料タンク容量
次に運転質量と燃料タンクの容量だけど、こちらもなかなか良い相関関係があります。
考えられる理由としては、エンジンの燃料消費量に対し油圧ショベルが何時間動かす事ができるかと言うのは燃料タンクの容量で決まるからです。油圧ショベルは工事現場や鉱山などで使われている=お仕事で使う機械なのでユーザーが1日にどのくらいお仕事するのか?というところで大体決まってきます。
同様に主要6社の各モデルのデータを見てみると運転質量と燃料タンク容量にも相関関係があることが確認できました。
下のグラフを見てください。
データはエンジン出力の時と同様に日本国内での主要6社、88モデルについてデータをプロットしたものです。


注意点だけど、上のグラフで下側に少し外れている点があるけど、燃費が良い製品なのか、それとも機械の稼動できる時間を短くしているだけなのかこのグラフでは判断できないよ。

ふ~ん、まぁ確かに燃費とは書いてないからね
運転質量とブーム+アーム長さ、運転質量とバケット容量
最後に運転質量とブーム+アーム長さ、運転質量とバケット容量についてですが、こちらも概ね良い相関関係があります。
考えられる理由としては、作業装置(ブーム、アーム、バケット)は油圧ショベルの前側に伸ばして作業をするのですが、当然重さのバランスが取れてないと前のめりに倒れてしまいます。なので作業装置の長さ・重さに応じた適切な運転質量が必要になるということになります。

同様に主要6社の各モデルのデータを見てみると運転質量とブーム+アーム長さにも、運転質量とバケット容量にも相関関係があることが確認できました。
下のグラフを見てください。
データはこれまでと同様に日本国内での主要6社、88モデルについてデータをプロットしたものです。



長い腕や、先っぽに重いものをぶら下げるとバランス取れずにコケてしまうので相応の体重が必要ということです。

ぼくは力持ちだから平気だけどね
結論
運転質量とそれぞれの性能・仕様には概ね相関があると言えることがわかりました。
- 運転質量とエンジン出力は比例関係にある
- 運転質量と燃料タンク容量は比例関係にある
- 運転質量とブーム+アーム長さは比例関係にある
- 運転質量とバケット容量は比例関係にある
まとめ
各メーカーお互いに競合調査してスペック競争していることもあり全体的にみると各社ほぼ同様の性能に纏まってきています。
この相関関係を打ち破るような突き抜けた製品が技術革新によって出てくると面白いですね。最近はデジタル化の力により遠隔操作や無人運転・自動化等に各社ちからを入れているように見受けられますが、製品の形としてはもうかれこれ60年以上あまり変わってないように見えるので、何か全然違う形にするとかこれまでの概念を覆す製品が出てこないかと期待してます。
<参考>今回の比較は日本発売のスタンダードモデルでの比較です。今後機会があれば海外市場でのデータも比較していきたいと思います。
※他にもこんなこと知りたい等あれば可能な範囲で記事化していきますのでご意見頂ければ幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。
本ブログでは他にも油圧ショベルに関する比較をしていますので、興味があればご覧になってください↓↓↓
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